新バージョンの企画会。前回の素材フォルダを開くと、ファイル名は残っていても、それがどんな判断を検証するためのものだったかは、誰も即答できなかった。
運用の長いタイトルでは、素材の本数が増えるほど知見が貯まるように見えます。しかし保存されているのは成果物だけで、判断の理由が残らなければ、担当者が代わるたびに、同じ試行錯誤を繰り返すことになります。
「素材がまだ足りないのでは」。最初の振り返りで出た結論はそれでした。ところが旧ファイルを仮説ごとに並べ直すと、見えてきたのは別のことでした。担当者が代わるたびに、同じ試行錯誤が繰り返されていたのです。
対比
素材を貯めることから、判断を貯めることへ
チームはグロースの仕事を「バージョンの経験を次に繰り越せるようにすること」と定義し直しました。保存の重点は、その1本が当時どの判断を検証しようとしていたかに置かれ、成果物そのものは証拠の一部として扱われます。
実行
一度の配信を、次の仕事の起点として書く
プロジェクトは「配信のラーニングループ」で仕事のリズムを統一しました。公開前に仮説を書き、配信中に素材の証拠を記録し、結果を集計した後、その判断が次のクリエイティブをどう変えるかを説明します。各バージョンには、次の担当者へそのまま渡せる結論ページを1枚残します。
「素材のエビデンスチェーン」はキャラクター・遊び・感情・復帰動機をそれぞれ別に記録します。新キャラクターの登場時には、まず似た関係性や物語の入口を確認したうえで、どの内容を再テストすべきかを決められます。
- バージョン前:新要素を、検証すべきユーザーの問いに翻訳する。
- 配信中:素材名に、ターゲット・約束・画面上の証拠を同時に記録する。
- 振り返り後:次の動きを変えられる結論だけを残す。
以前は振り返りの途中で、必ず誰かが「これはなぜ残していたのか」と聞いていました。いまはそのページをそのまま開けます。
原神 バージョン配信統括


結果
そのあと、何が変わったか
新しいバージョンの議論が始まると、チームはまず前回のラーニングページを開き、どの判断がまだ有効で、どれを再テストすべきかを決めます。素材ライブラリはファイル置き場から、プロジェクトの記憶に変わりました。
成果は協業の仕組みに残りました。新しいメンバーは既存の証拠に沿って引き継ぎができ、振り返りの時間は新しい論点に使えるようになっています。
- 経験の再利用 ↑
- 引き継ぎコスト ↓
- 振り返りの焦点 ↑
新しいバージョンを引き継ぐとき、前のページを見ればどの判断をすでに検証したかが分かります。推測から始めなくてよくなりました。
原神 メディアオプティマイザー
振り返りの場で当時の意図を思い出す必要がなくなり、チームは前回の判断ページを直接参照するようになりました。



